これまでの成果
再使用型再突入機における揚力の意味

 使い捨てのカプセル型の再突入機と違って、再使用型では十分な大きさの揚力を発生させる必要があります。これは主として次の理由からです。まず、再使用型宇宙輸送機では、アポロやジェミニ型宇宙船のように着水点で回収用の艦船が待ち受けるのではなく、滑走路などの地上の特定の地点に自ら到達しなければなりません。目的地が周回軌道の下にない場合には、ロケットエンジンを使って再突入前に軌道変換する方法も考えられますが、大量の推進剤を必要とすることなどから、大気圏再突入後に大気から受ける力を用いて経路を変更する方が効率的です。その場合の経路の変更は、航空機のようにバンクをとって揚力の方向を右や左に傾けることにより行ないます。経路を変える能力は機体の揚抗比に依存するため、比較的大きな(極超音速での)揚抗比を持った機体であることが必要になります。

 次に、再使用型宇宙輸送機では、熱防護系も再使用可能であることが必要です。ところが、現在の技術レベルで使用可能な熱防護材は、カプセル型宇宙船で用いられた使い捨てのアブレータ(昇華などの吸熱反応によって、それ自身の材質が変化する耐熱材料)に比べて耐えられる空力加熱率が小さいため、再突入飛行中の空力加熱率を下げる必要があります。空力加熱率の大きさは大気の密度の1/2乗にほぼ比例しますので、再使用宇宙輸送機では、同じ速度に対して、より高空を飛行する必要があり、揚力で自重を支えることが必要になります。この場合に重要になるのは(極超音速での)揚力面荷重が小さいことです。さらに、滑走路に着陸する場合には揚力が必要なのはいうまでもありません。着陸時は航空機と同じように低速での揚抗比と揚力面荷重が問題となります。ロケットエンジンを用いた垂直着陸という再使用宇宙輸送機の案もありますが、その場合でも、経路変更や空力加熱率の低減のために揚力が必要なことは変わりません。



 Index

  極超音速飛行実験(HYFLEX)
  実験概要と目的
  機体構成
  再使用型再突入機における揚力の意味
  誘導制御
  熱防護構造
  飛行データ
  画像データ