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ロケット

基幹ロケット高度化

  • 概要

H-IIAロケットをさらなる高みへ

日本の基幹ロケットである「H-IIAロケット」は、2001年の 試験機打ち上げから、日本の宇宙開発・利用に貢献してきました。 運用経験を積む中で高い信頼性を築き上げ、世界トップクラスの打ち上げ成功率と世界一のオンタイム打ち上げ率を達成しました。 その一方で海外の競合ロケットの台頭や打ち上げ需要の変化などの新しい流れや、設備の老朽化などに直面しています。 このような課題に対応するため、2015年からH-IIAロケットの改良開発に取り組みました。
これが基幹ロケット*高度化開発です。

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* 基幹ロケットとは?
日本において、輸送システムの自律性を確保する上で不可欠な輸送システムと定義され、現在、H-IIAロケット・H-IIBロケット・イプシロンロケットが基幹ロケットに位置付けられています。

基幹ロケット高度化開発が目指すもの

ロケットの機能・性能の向上し、国際競争力を強化する

  • 信頼性の高い現行の設計を大きく変えず、商業衛星打ち上げ市場に対応するロケットに改良することで国際競争力と産業基盤の維持及び向上を図ります。
  • 性能向上により、惑星探査等のミッションに柔軟に対応します。
  • 複数の衛星を高度の異なる軌道へ投入する技術により、従来別のロケットで打ち上げていた衛星を1機のロケットで打ち上げることで、打ち上げコストの低減を目指します。

ロケットの運用基盤を強化する

  • 老朽化したレーダ設備に代わる航法センサを開発することで、打ち上げ時に使用していた設備維持・更新に係る費用を削減するとともに、より高精度な飛行管制を実現します。

将来に繋がるロケットの研究開発をおこなう

  • 基幹ロケット高度化開発では、ロケット全体の構成は変えずに2段機体を中心に改良することで、H-IIAの底力を引き出し、さらなる高みを目指します。
    これは日本のロケットの発展において、重要なマイルストーンであり、2020年度に試験機の打ち上げを目指すH3ロケット開発においても重要なステップです。
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基幹ロケット高度化開発の概要

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静止衛星の打ち上げ性能の向上

気象衛星や通信衛星などの人工衛星は静止軌道(①)に入る前段階で、ロケットによって静止トランスファー軌道(②)という楕円軌道に投入されます。 従来は静止トランスファー軌道に投入された後、衛星は自身の燃料を使い静止軌道へ遷移していました。 基幹ロケット高度化開発では、ロケットが長時間慣性飛行(ロングコースト)できるように改良することで、静止軌道により近い軌道(③)に衛星を投入できるようになりました。 衛星の燃料が節約できるため、その重量分の新たな観測機器を搭載したり、衛星寿命を延ばすための燃料に充てることができます。

静止衛星の打ち上げ性能の向上
H-IIAロケット(高度化仕様)軌道CG

衛星相乗り機会の拡大

H-IIAロケットの打ち上げ余剰能力を活用し、複数の衛星を異なる軌道高度へ投入する機能の獲得を目的とした開発です。 平成29年12月に打ち上げた37号機では、29号機で実証した技術を一部活用することで、従来のH-IIAと同等の高い精度で複数の衛星を異なる高度の軌道へ投入することに成功しました。 従来であれば、それぞれ別のロケットで打ち上げなければいけなかったところを1回に統合できるため、費用対効果の高い打ち上げが実現できます。

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「しきさい」と「つばめ」のフライトシーケンス紹介映像

これらの技術を実現するために開発された技術を紹介します。

長時間飛行技術(ロングコースト技術)
29号機で実証

ロングコースと技術

※ロングコースト:長秒時慣性飛行

第2段エンジン再々着火技術
29号機で実証

静止軌道付近(遠地点)ではロケットの速度が遅く、第2段エンジンをフルパワー(100%推力)で着火させた場合、 推進力が大きすぎて目標の軌道に精度よく投入できないため、第2段エンジンの推力を60%に絞って作動させる「スロットリング機能」を追加し、柔軟な軌道投入を可能にしました。

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  1. 近地点で第2段エンジンを着火(2回目)して増速する。
  2. 第2段と衛星を分離せずロングコースト(約4時間)を行う。
  3. 遠地点で第2段エンジンを着火(3回目)して増速。衛星を分離して高度化による静止トランスファー軌道(高度化GTO)に投入する。
  4. 遠地点で衛星が増速。静止軌道に入る。

小⊿Vに対応した制御技術
37号機で実証

⊿Vとは軌道を変更する際に必要な速度変化量を表します。
2段エンジン燃焼中に推力方向の制御を行う従来の誘導方式では、⊿Vが小さい場合は燃焼時間が短いため、誘導に必要な時間を十分に確保できず軌道投入精度の悪化が懸念されました。
それを回避するため、搭載ソフトウェアに以下の機能追加を行い、2回目、3回目の燃焼時に適用します。
37号機の衛星相乗り機会の拡大を実現するために新規に開発された技術です。

H-IIAロケット(高度化仕様)打ち上げイメージCG

衛星搭載環境の緩和

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現在のH-IIAロケットは衛星を分離する際に火工品を使用していますが、火工品を使用しない分離機構を開発し、 衝撃環境を約4000Gから世界最高水準の1000Gに低減させ、衛星搭載環境を改善させます。 これにより衛星の構造上の制約を小さくすることができ、衛星設計の自由度が向上します。
この技術は3号機以降の強化型イプシロンにも使われます。

ロケット運用基盤の強化

老朽化したレーダ設備に代わる航法センサを開発することで、打ち上げ時に使用していたレーダ設備維持・更新に係る費用を削減するとともに、より高精度な飛行管制を実現し、ロケット運用を革新します。

地上レーダ設備の不要化

H-IIAロケットは機体に搭載するレーダトランスポンダ(電波中継器)と地上レーダ局によりロケットの位置情報を得て、飛行安全管制を行っています。 しかし、地上レーダ局は大掛かりな設備なので、老朽化に伴い更新や維持に費用がかかっていました。 ロケット自身に新たに開発した航法センサを搭載することで、地上レーダ局に頼らず、飛行安全管制に必要な位置情報の取得を可能とします。 これにより、地上レーダ局を不要とし、打ち上げに必要な地上設備を簡素化します。 29号機から実証を始め、37号機では、地上レーダ局の完全不要化を達成しました。この技術はイプシロンロケットにも適用されています。

開発の成果

高度化開発の飛行実証をおこなった29号機においては高度化仕様の第2段は計画通り飛行し、打ち上げ後約4時間27分にH-IIAとして初の静止商業衛星の「Telstar 12 VANTAGE」を正常に分離しました。 長時間慣性飛行や第2段エンジン再々着火を実施することで、従来に比べて、より静止軌道に近い軌道に衛星を投入することに成功しました。

また、37号機では気候変動観測衛星「しきさい」及び超低高度衛星技術試験機「つばめ」の2つの衛星を異なる高度の軌道へ高い精度で投入できることを実証することで、H-IIAロケットの多様なミッションへの対応能力を向上させました。

2020年にはアラブ首長国連邦(UAE)のドバイ政府宇宙機関の火星探査機の打ち上げが予定されており、基幹ロケット高度化開発の成果であるロングコースト技術が適用されます。

H-IIAロケット29号機の打ち上げ

H-IIAロケット37号機の打ち上げ

本文ここまで。
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画像:宇宙から見た地球を紹介 地球観測研究センター
画像:衛星利用の情報を発信 衛星利用推進サイト
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