COLUMN ~私とH-IIAロケット~

石原 和臣
現所属:
宇宙輸送安全計画ユニット
当時のH-IIA担当業務
H-IIAロケット開発の初期検討の頃から12号機までの飛行解析を担当しました。現在は、H-IIAやH3ロケットの飛行安全を担っています。
最終号機を迎えるH-IIAロケットへのメッセージ
1994年頃の初期検討段階から関わり、様々な形態の、様々な軌道へのロケットの飛行経路を計算し打上げ能力や飛行特性を検討するという仕事をしておりました。
H-IIロケットまでは打上げの約2年前に打上げ季節(夏か冬)を確定し飛行経路を作成するのが普通でしたが、風の変動を見込んだ強度確保のため機体が重くなることや、打上げ直近の季節変更を伴う延期に対応できない課題がありました。
そこで、打上げ当日に観測した上空の風に基づきロケットの搭載プログラム内にある姿勢計画を一部書き換える「プログラムレート再設定システム」の開発をリードし、打上げ季節の急な変更に対応できるロケットとしました。
外部有識者の事前評価を受け「十分事前の訓練をすること」を条件に認めて頂き、試験機1号機の前に様々な異常対応訓練をしたことは今でも覚えております。
このシステムはH3ロケットでも活用されており、今では夏や冬だけでなく様々な季節に打上げができるようになりました。ロケット開発にちょっとは貢献できたかな?と自負しています。
また、H-IIAロケットに搭載する電波航法機器の開発にも関わらせて頂きました。電源を入れてから航法計算を開始するまでの時間が仕様より長くなる不具合があり、打上げ直前のブロックハウスの中で、大勢の関係者に詰め寄られた苦い経験があり、それ以来、不具合に対しては悔いることがないよう厳しい目線で仕事をしています。
現在は、ロケットの飛行安全を担っており、「プログラムレート再設定」されたロケットが、安全に飛行しミッションを達成することを「厳しい目線」で支えています。
初期検討から関わったH-IIAロケットがいよいよ最終号機を迎えます。無事にミッションを達成し有終の美を飾れるよう、引き続き頑張ります!