COLUMN ~私とH-IIAロケット~

小金澤 崇
現所属:MHI 宇宙事業部 技術部 ミッションマネージャー

当時のH-IIA担当業務

エンジン設計担当

最終号機を迎えるH-IIAロケットへのメッセージ

H-IIA最終号機打上げに向けて ―ミッションマネージャ

ミッションマネージャーとは、一言で言うと『お客様(衛星)とロケットの橋渡し役』です。
ロケットに搭載する衛星は形状や到達軌道が異なります。また、打上時期(季節)や打上時間帯が異なります。お客様(衛星)の要望とロケットの仕様/能力をすり合わせ、機械的、電気的インタフェース、打上時環境、打上日時等を調整し、最終的に衛星を要望通りの軌道にお届けする、その為にお客様と調整するロケット側代表、それがミッションマネージャーです。

幼少期、宇宙飛行士に憧れていた私は、自分がしたい仕事を考えはじめたのは高校生のころでした。

宇宙へモノを運ぶロケットは、エンジンに燃料を積む巨大な推薬タンクが引っ付いたものとイメージしたため、そのロケットエンジンの設計者になりたいと思うようになりました。 大学ではロケット推進について学んだあと、三菱重工に入社し、運が良いことに、第一希望であった「液体ロケットエンジン設計課」に配属されました。 それ以来25年間、ロケットエンジンの設計者として多くのエンジン開発に奔走してきましたが、あるとき「ミッションマネージャーをやって貰えないか」と話が舞い込みました。

ロケットエンジンは、ロケット機体側とのインタフェースを数多く有しています。例えば、機械的、電気的、流体的、熱的、音響、などなど。 お客様との技術的なインタフェース調整が多いミッションマネージャーで、これまでのロケットエンジンの設計者として培った経験や知識が活きるのではないか、と期待されてのことでした。

その後、ミッションマネージャーとして初めて担当したお客様(衛星)は、H-IIA47号機にて打上げられ、偉業を成し遂げた小型月着陸実証機のSLIMでした。 そして今回、2機目の担当となる衛星は、H-IIAの50号機に搭載される温室効果ガス・水循環観測技術衛星のGOSAT-GWです。

第1段エンジンであるLE-7AではH-IIAの初号機から、第2段エンジンであるLE-5Bではその高度化開発に、そして最終号機の50号機では、ミッションマネージャーとして携わることができ、私にとってこのH-IIAは我が子のようなロケットです。

そのロケットでお客様であるGOSAT-GWを希望される軌道にお届けするまで、ミッションマネージャーとして全力で取り組んでいきます。 皆さん、応援よろしくお願いいたします。