COLUMN ~私とH-IIAロケット~

杉薗 光太朗
現所属:研究開発部門 第四研究ユニット

当時のH-IIA担当業務

JAXA入社後、最初の赴任地である種子島宇宙センターで射場系の電気通信係を担当しました。 種子島在勤中に、2016年の31号機から2018年の40号機まで、計10機のH-IIA打上げに参加しました。 筑波宇宙センターへ転勤後はコマンドシステムの刷新を担当し、そこで確立したシステムは、その後のH-IIAやH3の打上げで運用されています。

最終号機を迎えるH-IIAロケットへのメッセージ

小学生の頃にH-IIAロケット試験機1号機打上げ成功のニュースを見て以来、私も将来ロケット打上げの現場で働きたいと思いながら学生時代を過ごしました。念願かなって種子島宇宙センターに配属された後は、さあ思う存分打上げてくれと言わんばかりに怒涛の多数機打上げが始まりました。

射場作業で使用される「通信」が私の担当でした。「通信」の対象範囲は広く、ロケットのテレメトリやコマンドの通信、 種子島宇宙センター中に設置されているカメラ映像や指令電話の音声を伝送する通信、打上げで使用する各設備の動作を同期させるための時刻信号の通信等、多岐にわたりました。 アナログからデジタルまで様々な通信規格が混在するネットワークの仕様を頭に叩き込み、不具合の連絡がくれば直ちに原因と思われる場所へ急行し、協力会社の皆さまと一緒に処置を行い、 射場作業スケジュールへの影響を最小限に留めるために尽力しました。特に2017年は、H-IIAの打上げが6回あり、過去前例のない密なスケジュールの中で、 いかに種子島宇宙センターの設備保全や老朽化更新を実施し、遅滞の無い打上げを実現するか、関係者一同で日々知恵を絞りながら仕事をしていました。
関係者一同の尽力の結果、この年は全ての打上げを成功させることができ、先輩方が成熟させてきたH-IIAロケットとそれを支える地上システムの偉大さを実感すると共に、 より高頻度な打上げが求められる次世代の宇宙輸送システムの研究開発に活かせる貴重な知見を得られました。

H-IIAロケット、日本の宇宙開発を支えてくれてありがとう。私を宇宙開発に引き込んでくれてありがとう。H-IIAの有終の美をしっかり目に焼き付けて、これからの宇宙輸送を支えていきたい。

射場系業務の一環としてダウンレンジ局の運用も経験しました(写真は小笠原局運用時のもの)