COLUMN ~私とH-IIAロケット~

小島 淳
現所属:研究開発部門 第四研究ユニット
当時のH-IIA担当業務
2005年~2007年
種子島宇宙センター推進系設備保守担当
H-IIA打上げ1段推進系担当
LE-7Aエンジン燃焼試験担当
最終号機を迎えるH-IIAロケットへのメッセージ
入社して最初の赴任地が種子島でした。当時、H-IIAの1段エンジンであるLE-7Aはまだ改良中で、最後の開発試験を行っている最中でした。
新人として開発の只中に入り込んでしまったわけですが、日々不具合や課題に直面し、LE-7Aの最終盤の開発に携われたことは、私自身、後のLE-9エンジン開発に携わるにあたり、活きた経験だったと思っています。
ほどなくして打上げにおいても1段推進系として従事したわけですが、現場の方々に「ようこそ、花の1段推進へ」と迎えてもらったことは今でも憶えています。
ロケットは1段推進以外にも2段推進系、電気系、構造系、設備系、射場系、飛行安全系等々、どれ一つ欠けても打上げができないわけで、いずれも重要であり、そこには各系で切磋琢磨する姿がありました。
皆が誇りをもって携わっていることを感じ、1段推進系も例外ではなかったわけですが、そんな現場の人たちが今でも自分の師匠だと思っています。
固体ロケットブースターが初めて4本付く204形態やH-IIBに向けては、ロングノズルスカートになったLE-7Aに固体ロケットブースターからの輻射熱の影響を防ぐため断熱材を試すこととなったわけですが、
通常予定している作業ではなかったことから一日の全てのロケット整備作業が終わった夜中に断熱材を取り付ける作業を行い、明け方まで取り付けに難儀したことも懐かしい思い出です。
1段推進系担当はロケットを組み立てるVABを出て射点まで移動する際に唯一移動発射台に同乗し、射点までの道中、この後に続く燃料の充填が滞りなく行われ、
無事空へ飛びたてることを機体を見上げて祈った想いも昨日のことのようですが、私にロケットの基礎を教えてくれたH-IIAには感謝しかありません。
H-IIAに関わった全ての方が、いいロケットを作ったと誇れるような有終の美を迎えられることを心から願っています。

種子島宇宙センター燃焼試験スタンドでのLE-7/7A累積燃焼時間3万秒達成記念(2007年)