COLUMN ~私とH-IIAロケット~

山﨑 敏史
現所属:イプシロンロケットプロジェクトチーム ファンクションマネージャ
当時のH-IIA担当業務
2006年から種子島宇宙センターにおいてH-IIAロケットの打上げ関連設備の業務に従事、大型ロケット組立棟(VAB)やブロックハウス(B/H)、
衛星組立棟(STA2)等にある発射管制設備・電波送受信設備等の設備保守・更新、打上げ運用等を担当
2009年以降、H-IIAロケット搭載用のアビオニクスシステムの研究開発・打上げ運用、基幹ロケット高度化関連プロジェクトに従事
2020年頃、コロナ禍で海外渡航が困難な状況下におけるH-IIA用地上テレメータ局の運用スキーム構築等に従事
最終号機を迎えるH-IIAロケットへのメッセージ
私のJAXA人生の中でH-IIAロケットに搭載されているアビオニクス機器の研究開発やその打上げ運用は、たくさんの思い出があり、様々なスキルアップにとても役に立った大変貴重な経験でした。
衛星分離等を映しだす搭載カメラに始まり、送信機、データ収集装置、レーダトランスポンダ、アンテナ、飛行安全用航法センサなどの数多くのアイテムについて、
技術的に幅広くかつ深いところまで追求することに明け暮れ、更に基幹ロケット高度化・追尾系高度化というH-IIAロケットの静止衛星打上げ対応能力をアップグレードする事業では複雑なシステム開発を通してシステムエンジニアリングを体現でき、
私の大切な財産となりました。同僚や諸先輩方、関連メーカ等からの多くの力添えに支えられ、H-IIAロケットの打上げ連続成功に向けて楽しみながら我武者羅に頑張れたこと、プロフェッショナルなロケットエンジニアに成長させてもらえたことは、大変嬉しく光栄に思います。
いま私が注力しているイプシロンSロケット開発やイプシロンSロケットを用いた打上げ輸送サービス展開に向けた民間移管に係る事業においては、
これまで経験した以上に技術的にもマネジメント的にも幾多の苦難が待ち構えている状況ですが、H-IIAロケットから授けてもらった財産を最大限に活かし、様々なステークホルダと「一致団結」を図りながら、1つずつ乗り越えていきたいと思います。
入社前の私にとってH-IIAロケットは仕事で携わりたいという夢でした。今の私にとっては、心から成長させてくれて“ありがとう”という言葉をかけたい、と思っています。
H-IIA最終号機の打上げの際には、是非リアルタイムでドキドキのカウントダウンから拍手喝采の衛星分離成功までしっかりと見届けたいと思っています。
みなさんにとってのH-IIAロケットとしても、最後の応援を頂けると幸いです。

初のH-IIA高度化仕様打上げに成功したときの記念写真