COLUMN ~私とH-IIAロケット~

齊藤 俊哉
現所属:研究開発部門 第四研究ユニット
当時のH-IIA担当業務
入社当初から3年間の種子島勤務時代にはH-IIAロケットの5機の打上げを打上隊企画班として担当。
4年目以降は筑波においてH-IIAロケット(構造系)の維持設計や要素品の再開発、H-IIAロケット高度化プロジェクト(構造系)を担当。
最終号機を迎えるH-IIAロケットへのメッセージ
【50機目の驚き!】
H-IIAロケットは私にとって生みの親、育ての親。職業像としてロケットエンジニアを思い描いたのも試験機1号機の打上げの頃。 そして種子島勤務から始まった自身のキャリアもH-IIAロケットと共にありました。振り返ると悲喜こもごもですが、50機目に至り打上成功の達成感や充足感、そして感謝の気持ちでいっぱいです。
【種子島での“主観的”な経験】
ロケットは巨大な科学技術の集積体であり、持続的な技術開発には『暗黙知の共有』、『ノウハウの見える化』などの“客観的”な技術伝承法が語られて久しいです。 しかしこれを成すためには“主観的”な体験も無くてはならないものだと思いました。 時には困難に直面して悔しい思いをし、大汗をかき、涙を流し、眠れない夜を超える経験を通じて技術面と精神面が両輪をなして仕事を進める感覚を覚えました。 後輩技術者たちにも出来るだけ体験による知の試行錯誤の機会も得てほしいと思っています。
【現職の研究とのつながり】
つくばに異動後はH3ロケットをはじめとする後継機種のロケット開発を担当し、そして現在はロケットの要素技術の研究に取り組んでいます。 「研究」の業務を行う中で「開発」から「打上げの実務」までのライフサイクル全体にわたる視点と感覚があるのは、まさに種子島でH-IIAロケットの業務経験のおかげでもあるかと思います。
【ロケットにかける想い】
現在は研究段階の新しい世代のロケットがH-IIAロケットと同じくらい、またはそれ以上に世界に貢献し、人々の役に立ち、愛され、そして長きにわたる活躍をするロケットとなるよう気持ちを新たにしています。 ありがとう50機のH-IIAロケットたち!

入社一年目の打上げ。同期たちと。(筆者:右から1人目)。