概要
宇宙への敷居を下げる イプシロンロケット
惜しまれつつも引退したM-Vロケットの後継機となる、新しい固体ロケットの研究を始めています。MVロケットは全段固体で惑星探査にも使用できる世界最高性能の多段式固体ロケットですが、総合的に見たときに運用のコストがかさんでいましたので、新しい固体ロケットではM-Vロケットの約3分の1程度を目標にコストの削減を図ろうと計画しています。もちろん、コストばかりでありません。新しい時代にふさわしい宇宙輸送システムへと進化・発展させること、ロケットの打ち上げをもっともっと手軽なものにして、宇宙への敷居を下げようというのが最大の目的です。なお、H-IIAロケットやH-IIBロケットを併せて運用することにより幅広い打ち上げニーズに対応することができるようにもなるでしょう。
打ち上げシステムの革新
M-Vロケットの内之浦での打ち上げ準備には手間と時間がかかります。新しい固体ロケットの研究では、単に既存技術を組み合わせるだけでは及ばない打ち上げシステムの革新、世界に冠たる運用性の向上を図ろうと計画しています。例えば、地上設備や打ち上げオペレーションにかかる時間を、M-Vロケットの4分の1程度になるようにコンパクト化。このために、ロケット搭載系の点検は機上で自律的に行い、地上系の手間を省きます。極端に言うと、世界中のどこにいてもネットワークを介してロケットの点検や管制ができてしまう、それもノートパソコン1台でできる、そのような世界をめざしています。射場に依存しない究極の管制システムです。新しい固体ロケットのこうした革新コンセプトは、未来のロケットのお手本になるものです。
ロケットの打ち上げを日常的なものに
ロケットの搭載装置は、現在ではロケットごとに固有のものを作っています。ロケットをパソコンに例えるなら周辺機器に相当する搭載機器はそのパソコン(ロケット)に専用です。中には専用のものも必要ですが、新しい固体ロケットではロケットに依存しない搭載系を目指しています。たとえば、搭載装置は高速のネットワークでつなげようと思っていますが、インターフェースを共通化しておけば、あたかもパソコンの周辺機器のように機器を追加したり、取り替えたり、あるいは、別のロケットに乗せることも自由にできるようになるのです。パソコンのように取り扱いが簡単なロケット。ロケットの打ち上げはもっと手軽でもっと日常的なものになるでしょう。宇宙をもっと身近に感じることができる、夢のような時代がもうすぐそこまできています。



